深夜の足音

深夜の当直中、病棟の静寂が足音で破られた。誰もいないはずの廊下で、その音は小さく始まり、徐々に近づいてきた。心臓が締め付けられ、眠気は一瞬で消えた。確認に行くとドアの前で止まり、冷たい風が吹き抜けた。同僚に訴えたが「疲労のせい」と笑われ、絶望が募った。翌夜も同じ時刻に響き、現実とは思えない恐怖が魂を抜き取った。退院後も耳に残り、夜が永遠の悪夢となった。あの音が何だったのかわからないまま、心に深い傷が刻まれた。もう病院での当直は耐えられないが、その記憶が私を追い続ける。