埼玉の廃墟で写真を撮っていたとき、夕方の崩れた壁が妙に静かだった。視界の端に黒い影がちらついて、心臓が激しく脈打ったんだ。目を凝らしてみると消えるどころか近づいてくるように見えて、膝が震えたが、何か確かめたい気持ちが抑えきれず、そのまま撮影を続けた。