子供の頃に茨城県にある袋田の滝に家族で行きました
幼心に薄気味のわるい場所だという印象が有りました。
袋田の滝では長い旧月居トンネルというトンネルがあり、
その場所で出来事は起きました。
あまり詳しくは憶えてないのですが、後ろに誰もいないのに歩く音がします。
ひた、ひた、と。
それどころか歩くだけじゃなく近づいてくる感覚までしました。
ひた、ひた、と。
「お母さん、お母さん」と懇願するような声がしました。
私が母と歩いてたから、母を求めるナニカがついてきたのでしょうか。
勇気をだして振り返ると、小さな子供がいました。
よかった、ただの人間だ。そう思っていたのです、その時までは。
早足でその子供は私たちを追い抜いていきました。
ただの迷子かもしれないと自分に言い聞かせて。
「迷子の男の子がいたね」と私が母に言うと
「ここ、誰もいないよ?早くお土産物屋さんに行こう?」
と母はキョトンとした顔で言いました
じゃああの子供は何だったのでしょうか。
お土産屋につくと彼はいました。でも彼は私にしか見えていないようでした。
「さっきから、男の子がいるよ」と言っても誰も信じてくれません。
私はとうとう泣き出しました。母は「ちょっと疲れちゃったんだね、今日はよく歩いていたから」
と私を慰めました。
後日、袋田の滝の前で焼き増しした写真を見たら、手が沢山写ってました。
小さな子供の手でした。「ただの影でしょう」と母は笑ってましたが、
私が大きくなって、その写真を見つけ出して母は言いました。
「実は袋田の滝は心霊スポットだったんだよね」と。
じゃあ、あのとき見た男の子は、お母さんを求める健気で悲しい理由があった
幽霊だったのでしょうね
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