首切峠」は昔、落ち武者が斬首されたことから
その名が付けられたと言われる、香川県では有名な心霊スポットです。

少し肌寒い秋の夜、当時大学生だった私は友人7名と軽い気持ちで、
肝試しにそこへ向かいました。

2台の車で向かうと、「首切峠」と書かれた看板が見つかりました。

そこは「峠」と名が付いているものの、
標高はさほど高くなく、緩やかな坂道でした。

周りに木々が生い茂ってはいるが、道はアスファルトで綺麗に舗装されており、
最初は「全然大丈夫じゃん」と思いました。

車から降り、辺りを少し歩いてみることにしました。
ただの道だなー、なんて話していると、木々が生い茂った間に旧道を見つけました。

友人達は面白半分でそこへ入って行きました。

すると突然、風が強く吹き、木々のザアアッと揺れる音がしたと思うと、
男の「おおおおおおおおおおおおお」という野太い声がそこらじゅうに響いたのです。

驚いた私たちは一斉に車へと駆け出しました。
車に乗り込んで一刻も早く離れようとエンジンをかけるも、友人1人が乗り込んできません。

とにかく友人を車へ引きずり込み、車を出しました。

「男の声がしたよね?」「怒らせてしまったのかもしれない」私たちが話していると、
なかなか車に乗らなかった友人が言いました。

「何のこと?男の声なんて聞こえなかった」

・・・え?
友人にだけ男の声が聞こえなかったそうなのです。

一体何故・・・。
そして更に不思議なことは続きました。

私の車の後ろを走る、もう1台の友人の車のフロントガラスが、運転席側だけ曇っていたのです。
それはただ曇っているだけではありませんでした。

フロントガラスには無数の手形が押し付けられていたのです。
その手形はフロントガラスの外側にべったりと付いていました。

一体誰が何のために・・・。
声が聞こえなかった友人も、フロントガラスがくもったことも、
おびただしい数の手形も、誰かが私の友人を連れて行こうとしたからなのかもしれません。

安易な気持ちで心霊スポットに土足で踏み入ってはいけない、と思わされた体験でした。

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