これは、今から10年ほど前のことです。

友人Aが「廃墟を撮影したい」と言い出して、
何人かで深夜、宮城県の鳴子温泉にある廃ホテル、
ホテルニュー鳴子へ行きました。

仙台市内から出発。友人Aの車に私を含め4人乗り込み、
うとうとしているうちに目的地に到着しました。

詳しい道のりは夜だったこともあってわからなかったのですが、
地元では有名な心霊スポットだということでした。

少し山の方に入った場所で、坂道を上って、横道に入り、
すでに雑草が生えてかろうじてコンクリートが見えるくらいの道を何とか上りきると、
そこに廃ホテルがありました。

友人Aは早速ビデオカメラを構えましたが、
「あれ、電源入んない、おかしいなあ」と言いながら、
運転席に戻ってバッテリーを交換していました。

白い外壁は汚れて、窓ガラスもところどころ抜けていて、
かつてホテルだった面影はどこにもありませんでした。

霊感がある、という友人Kが「ここは火事があったね」とぽつりと言いました。
バッテリーを交換しながら友人Aが「なんでわかるの!?」と言いました。

友人Kは「ほら、地下があるんだよ」とメインの入口であるドアを指さしました。
でも、ドアは閉まっていて、地下があるかどうかわかりません。

「なんで地下があるってわかるのよ」と友人Kに尋ねると、
友人Aがやっと電源の入ったビデオカメラを持ってやってきました。

「ここ、地下あるよ。地下に温泉があったんだよ」と言いました。

友人Kが「ほら、地下で火事があったんだよ。こどもがいるよ。
そろそろみんな窓からこっち見てるから、来るよ。戻ろう」と車に戻り始めました。

それに続いて、みんな車に戻りました。

すると、車の外で、パキっパキっと、
何人も草むらを歩いてこちらに向かってくる足音が聞こえて、
慌ててその場を離れました。

ビデオカメラの映像は、結局真っ暗で音声しかとれていませんでした。

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