岐阜県の多治見市から春日井市に向けて
土岐川の南岸を走る通称愛岐道路を通っていきますと、
JR古虎渓駅の手前の古虎渓トンネルの更に信号のある交差点があります。

その信号を左に曲がって少し行くと左手の崖の上に
問題の「古虎渓ハウス」とよばれる廃旅館があります。

昭和30年代に営業を開始し,数年で廃業したこの建物は
いつしか心霊スポットして有名になりました。

何人かの霊能力者が訪れては、ここは危ないと警告を発したそうで、
トイレにはどういう理由か、江戸時代に悲痛な死に方をした女性の霊が
地縛霊となって取り憑いていると、霊視した結果わかったそうです。

この地縛霊が周囲の浮遊霊を呼び寄せ、
どんどん霊が集まってきて巣窟のようになっているとのこと。

ある8月の終わりに、私と知人数名はこの話題で盛り上がり、
その勢いで夜の9時過ぎに肝試しに出かけていきました。

時間が早いのは、そのグループの中に高校生がいましたので、
深夜徘徊(しんやはいかい)で補導されないように
素早く行って素早く帰ってこようと思ったわけです。

で、現地に到着しましたが、建物はわかったのですが、
入り口が見つかりません。

道なりに上の方へ進んでいきましたが、
はっきりした道がありませんでしたので、
崖のブロックをよじ登って建物の中に侵入しました。

中は随分と荒れていて、もう既に多くの人たちが肝試しに来た痕跡があり、
上の階にはお札が貼ってあり、ジョークなのか「除霊失敗、後を頼む」
みたいな落書きもありました。

私たちの入った場所はお風呂場に続く階で、
そこでもいろいろと霊を見かけるということで、緊張していきましたが、
特に何もありませんでした。

また、上の階のWCには不気味な落書きが書いてあり、ひやりとしましたが、
無事に霊に会わずに帰ってきました。

もう少しあちこち捜索してみたかったのですが、
時間と徐々に高まりつつあった恐怖感のためさっさと撤収してきました。

私は、もしかすると何か写っているかと思い持って来たコンパクトカメラ
(当時はまだフィルム式)であちこちを撮影して帰ってきました。

元来小心な私は、他のメンバーと違い
あまり奥の方まで進みませんでしたのでフィルムが余り、
まだ何枚か撮影できたのでメンバーが集まったときに写真を一緒に撮りました。

まずは私が撮影者になってパチリ、
次は別の者が撮影者になって私が中央に入ってパチリ。

早速現像に出して、できあがった写真を見てみました。
廃墟の写真は特に怪しいものは写っていませんでした。

しかし、集合写真を撮った2枚の中で、
私が入っているはずの写真の方に私の姿がありませんでした。

正確にいいますと、中央の私のいるはずの部分だけが白くなっていたのです。
これを見たとき、急に寒気がおそってきました。

カメラに何か原因がないかと早速調べました。

するとカメラのフィルム室の中に小さい綿ぼこりが入っているのを見つけました。
その綿ぼこりがきっとフィルムの前に移動し、私の姿を遮ったのでしょう。

そう、思おうとしました。

でも、おかしいです。
カメラが好きな私は、フィルムを装塡するときに
いつも気をつけてカメラの中を確認しているのですから。

しかも、他の写真には全く影響がなく、偶然私が写ったときだけほこりが、
しかも中央にいる私だけを遮るのでしょうか。

気持ち悪くなった私は、写真とフィルムを捨ててしまいました。

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