奥の方へ行った髪がボサボサな人、すげえ存在感だったな」

友人Aの何気ない一言なのですが、
私たちはそんな人を見てはいませんでした

そのとき私達がいた場所は、
長崎市伊良林にある光源寺へ向かう路地にある自販機前で、
そこは直線の見通しのいい道でだったので、
Aが言うような人を見落とすとは考えられないような場所でした。

私たちは光源寺に行くためにこの場所を通ったのですが、
光源寺の墓地には幽霊話が生まれた赤子塚という場所があり、
この場所もその幽霊話に関係のある場所でした。

赤子塚の幽霊話は、身ごもったまま埋葬された母親が、
死後に生まれた我が子のために幽霊となり、
埋葬されたときに持たされた、
あの世へ行くために必要な六文銭でアメを買っていたという話です。

我が子を助けてもらったお礼なのか、
水不足に困った住人たちに水源の場所を指し示し、
その水源に作られた井戸があったのが自販機の前でした。

母の幽霊が買ったアメの値段が一文だったことから、
この場所にある自販機では、
『一文銭ビスケット』というお菓子が売られています。

この話が頭にあったので、
Aだけに見えたボサボサの髪の人も、
なにかの見間違いだろうと思っていました。

そのまま路地を進んで赤子塚の姿が見えたとき、
何人かが壁の上を何かが動いたのを見てしまいます。

壁の上に出ている木の葉は動いていないので、
猫とかではないのですが、
木の葉が動いていないことで、
勘違いとも言えなくなっていました。

六文銭が無くなりあの世にいけなくなった母の幽霊が、
赤子塚の周りを漂っているのかも
しれません。

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