幕張に知る人ぞ知る場所があるって聞いて、
大学生だった私たちは夏休みで暇を持て余していて、
大須賀山(堂ノ山)の首塚に刺激を求めて行きました。

堂ノ山のすぐ近くの川沿いに県道54号線に面したコンビニがあって、
そこから見ただけだと近所の子供が駆けまわっていそうな小さな山で、
見た目からは恐ろしい場所があるようには感じませんでした。

コンビニから少し歩いた幕張一丁目バス停の近くの入り口には、
民家の間を縫うようにして進むように指示する看板も出ていて、
知る人ぞ知る秘密の場所を期待していただけに、
宣伝に熱心な隠れ家的な飲食店のような残念さを感じました。

ただ、この辺りの家の墓地から奥に進むと
そこは木に閉ざされた別の世界で、
森の中には一応道らしきものがあるのでそれに従うしかなく、
ときどき奇妙に歪んだ木が目に止まり不安をかきたてられます。

堂ノ山は室町時代に政府の内乱に巻き込まれ、
甥を焼き討ちすることになった武士、
馬加康胤(まくわりやすたね)の首が埋葬された場所
と言われています。

その後の戦で敗れた康胤は打首になり、
部下たちがこの山に埋葬するまで
その首を晒しものにされたそうです。

甥を焼き殺したことへの後悔なのか、
首を晒されたことへの恨みなのか、
この首塚付近では心霊現象が起こると言われていて、
私も首塚から帰る途中の森で不思議な体験をしました。

よく晴れた日なのに生い茂った木の天井は厚くて、
僅かな隙間から差し込む光がスポットライトのように
足元を照らしていました。

森の外で風が吹けば木漏れ日が揺れるのですが、
その光は私の前方からスーッと近づいて来て、
私とすれ違うように首塚の方へ進んでいって。

木漏れ日が移動するわけがない、
私が気づいた時には移動する光はどこかに消えていました。

一緒に行った友人たちは錯覚だろと言って信じてくれませんでしたが、
移動する光を私は確かに見たんです。

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