ホテルや旅館という場所は、
よく幽霊が出る
等の話しを聞く事があります。

大抵は根拠のない嘘ですが、
中には本当に出ると噂のホテルもあるのです。

鳥取県鳥取市には、静山荘というホテルがあります。

以前は栄えていたこの静山荘も、
現在は2つある内の1棟が廃ホテルと化しています。

この静山荘の噂を聞いた怖い物知らずの友人から、
ある時肝試しに誘われました。

私とあと1人の友人の合計3人でそこへ向かったのですが、
その途中で迷ってしまったのです。

時間は深夜1時、辺りは鬱蒼と木が生い茂り、何の音もしません。
季節は秋でしたのでちょっとだけ肌寒く感じました。

車で行けるところまで行ってみましたが
何の収穫もないのでさて戻ろうか、という所で、
運転していた友人が「おい」と呼びかけました。

助手席に座っていた私、後部座席にいたもう1人の友人が
運転している友人の指し示す方へ目をやると、
そこには大きな建物がありました。

恐らくここが静山荘だろうと思って、
まず怖い物知らずを自負していた運転席の友人が先に車を出て、
廃墟となった静山荘へ向かいました。

しかしすぐにくるりと体を反転させ、戻ってきたのです。

何だ怖かったのか、と笑ってやろうと思ったのですが、
友人は顔面蒼白で慌てて車のエンジンをかけてその場から去りました

私ともう1人の友人でどうしたのかと聞いても、
歯をガチガチ慣らして何も答えずひたすら車を走らせます。

そのまま2時間は経った頃、漸くPAについて、
そこで運転していた友人が「お前ら見なかったのか」と言いました。

友人が言うにはホテルへ近づいた瞬間にとんでもない寒気がして、
ふとホテルのある方を見ると奥の方から
何人もの黒い影が近寄ってきたというのです。

あれは生きている人間ではなかった、と震える友人を見て、
私は黙り込んでしまいました。

実はあのホテルから去る際に一瞬後ろを振り返ってみると、
後部座席に座るもう1人の友人に追いかぶさるように
黒い影がかかっていた
のですから。

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