高館山にある塔のような展望台で、
内部の螺旋階段を降りているときに、
ここが自殺の名所で、
夜になると幽霊が出ると聞きました。

「窓に立つ、首が大きく曲がった女の幽霊を見たって言うんだ」
「展望台に訪れる人間を、じっと見てくる男の幽霊が」

その手の話に動揺するようなのは私達の中にいなかったし、
何しろ昼間ということもあって、
心霊の話題をゲラゲラと笑いながら下まで降りました。

高館山展望台は鶴岡市にある高館山にある、
塔のような外見が特徴の展望台で、
私達はドライブでこの場所に訪れていました。

塔から出た後も、
少しふざけながら歩いていたんですが、
足の裏に違和感を感じたのです。

歩くたびに、
足の指の少し下あたりだけが地面につかなくて、
足をあげるときも違和感があります。

こんな所でガムを踏みつけた、
しかもこの感触は相当でかいガムだということに、
私はうんざりしながら、
「うぁ、ガムふんだからちょっと待って」
と言って靴の底を見ます。

さっきまで確かに、
靴の底に何かが張り付いている感触があったのに、
靴の底には何もありません。

勝手に取れたのかと思って、振り返って地面を見ても、
ガムとかそういう張り付きそうなものは落ちていませんでした。

とっさに友人達には気のせいだったと言って、
なにも無かったようにそのまま帰ったのですが、
私の頭の中では、いったい何が起きたのだと慌てていました。

幽霊の話をしていると、
そこに幽霊がやって来る
といいますが、
螺旋階段を下りながら幽霊の話をしていたから、
この場所で自殺した人の幽霊が集まった
のでしょうか。

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