就職先がなかなか決まらず、
私が渡した履歴書に付箋紙が貼られて、
それにお断りの文章が書かれていたのを見て、
私の心が折れてふさぎ込んでいたときの出来事です。
私のそんな様子を見かねた先輩に連れて行かれたのが、
岡山県倉敷市の種松山にある西園地でした。
先輩は夜勤終わりの疲れている時だったのですが、
半ば強引に先輩の軽に乗せられて何処かに連れて行かれます。
「これから行くところはトイレに幽霊が出るから、
トイレは今のうちに済ましておけ」
コンビニに寄った時にそんな事を言われて、
殺された女性が放置されていたといわれるトイレが有名な、
種松山公園に行こうとしているんだなとわかりました。
先輩が山に行く時に使うシルバーの小型ガスコンロでお湯を沸かして、
コンビニで買ったサンドイッチとドーナッツを食べながら、
淹れたてのインスタントコーヒーを飲んで。
「またこうやってコーヒーのもうや」
落ち込んでいる時に「頑張れ・しっかりしろ」というのではなく、
ただ私の側に寄り添ってくれる先輩に、
私は感謝するしか出来ませんでした。
コーヒーを飲んだせいなのか、
帰る直前に先輩がもよおして。
幽霊が出るトイレに1人で行きたくないから、
入り口まででいいから一緒に来て欲しいと頼まれたので、
しかたなくトイレの入り口近くで待っていました。
「女子の方は混んでたの?
姿が少し見えただけだけど、入り口に人がいたね」
車まで歩いている時に、
先輩が女子トイレに人がいたと言うのですが、
私は誰も見ていないし、
私達以外には人の気配はありませんでした。
先輩はその後、
帰りのコンビニでアジシオを頭にふりかけたりして、
さっきまで頼もしく見えたのがウソのように慌てふためいていて。
先輩が見た人影が幽霊なのかは私には分かりませんが、
私のために先輩に怖い思いをさせてしまったので、
申し訳ないとしか言いようがありませんでした。
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