鬼の体に牛の頭、
牛鬼(うしおに、ぎゅうき)と呼ばれる化物は、
西日本の各地に伝説が残る化物ですが、
場所によってその姿は色々で、
水木しげるロードには牛の頭に蜘蛛の体の像が飾られています。
香川県にある第82番札所『根香寺(ねごろじ)』では、
牛の頭にムササビのような姿をしていると伝えられています。
根香寺には、
里を荒らしていた牛鬼を退治した時に納められた、
牛鬼の角が保管されていて、
牛鬼の角は今も人外の力を宿しているのか、
根香寺では怪異な出来事が起きることで知られています。
これは携帯電話が普及し始めた時代の話です。
この時代は外出した相手と緊急の連絡をするなら、
あちこちに設置された公衆電話からの連絡を待つしかなく、
外出先の相手へ連絡する手段はありませんでした。
「急に公衆電話から呼び出し音が聞こえてきて、
おそるおそる受話器をとると呪われる」
四国旅行で根香寺に着ていたY君達は、
観光ついでに噂の公衆電話を訪れたそうです。
根香寺にある牛鬼の彫像を見て、
Y君はウルトラマンのパチもののソフビ人形を思い出し、
根香寺の怪異を甘く考えていました。
この場所に来た記念にとおふざけで、
受話器の音を聞いてみようということになり。
Y君達は公衆電話を前に顔を寄せあいながら、
受話器を持ち上げて音を聞きます。
受話器からは無音が聞こえるはずでしたが、
何故か話し中を知らせる音が聞こえて来て、
受話器を持ち上げていたY君は急いで電話を切ります。
確認の為にY君の友人が受話器を取ると、
通常通りに無音が聞こえて来て。
さっきの話し中は何だったのか、
Y君達はわけが分からず、
公衆電話を前に固まってしまいます。
移動に使っていた車をポールでこすったり、
かぶっていた帽子を失くしたり、
中には体調をくずした人もいて、
とにかくその後は悪いことが続いたそうです。
ある地方に伝わる言い伝えだと、
牛鬼は女性の姿をした化物と協力して、
人を襲うと伝えられていて。
真夜中の根香寺に現れる、
着物姿の女性の幽霊というのも、
根香寺に納められた牛鬼の角が関係しているのでは無いでしょうか。
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