国道33号線の途中で、
三坂から久谷へ進む細い山道の途中には、
大きな池が4つ並んでいます。
46番札所の「浄瑠璃寺」を南へ500m進んだあたりにある池で、
正式な名前があるのかはわかりませんが、
4つ並んでいるから「久谷の四ツ池」だと聞いています。
久谷へ向かうときにはこの道を使うと早いのですが、
私はこの道は狭くて嫌いでした。
その日は久谷から帰るのが遅れたので、
太陽が沈もうとしている時間に、
「四ツ池」の近くを通っていました。
車のライトは点けていましたが、
道路脇の雑草もあって、
昼間に通った時よりも随分と道が狭く見えます。
一番山奥にある大きい池では、
おじいさんが溺れていて、
それを助けようとすると無数の手に引きずり込まれそうになる。
きっと夜に操作ミスで事故死したおじいさんの幽霊が、
1人がさみしくて仲間を作ろうとしているんだろう。
同僚からそんな話を聞いていましたが、
幽霊はともかく、慎重に運転しないと自分が事故を起こしそうな道です。
早く帰りたいとは思っていましたが、
安全運転で車を運転していました。
そんなときに、
車の助手席においていた携帯が着信を知らせて震えて、
すぐに静かになります。
会社には帰る時間を伝えていたので、
何か急ぎの用件かと思いましたが、
それならすぐに切ることはありません。
変だなと思いながら、
車を止めて着信を確認しますが、
誰からも連絡はありません。
車内の温度が急に下がった気がして、
早く車を出して帰ろうと、
助手席に携帯を置こうとしたとき。
携帯がブーブーと二回震えて、
驚いた私が落とした携帯は助手席側の足元に落ちます。
とにかく急いでこの場所から離れたくて、
落ちた携帯はそのままにして車を出します。
途中一度だけ、
長めに携帯が震えていましたが、
とにかく無視して会社まで戻りました。
会社の駐車場で、
おそるおそる着信を確認すると。
長めに携帯が震えていたのは、
同僚からの連絡だったのですが、
携帯を落とした時の着信は記録されていませんでした。
はじめは携帯の故障かと思いましたが、
いまでも普通に使えています。
あれから何度か「久谷の四ツ池」を通る道を使ったのですが、
それからは何も起きていません。
あの時の着信がなんだったのか、
今もその原因はわかりません。
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