あれは私がフリーターをやっていた時代の出来事でした。

その当時ビル清掃の会社で働いていたのですが、
アルバイトに同世代の人間が多かったこともあり、
よく飲みに行ったり、遊びに行ったりしていました。

あるとき、「夏はやっぱりこれでしょう」ということで、
いくつかの心霊スポットを巡ることになりました。

その中に含まれていたのが岩手県雫石町にある慰霊の森です。
1970年代に旅客機と自衛隊機が接触し、大きな犠牲を生んだ場所で、有名な心霊スポットです。

4、5人の仲間とともに1台の車に乗り込み、
仙台のまちを出発した時にはすでに夜でした。

ドライブは順調に進み、やがて雫石に到着。
時計の針はすでに日をまたごうとしていました。

全員で軽く登山をし、やはり多数の方が亡くなった場所ですから
自然と厳粛な気持ちになり、慰霊碑に手を合わせます。

しかし特に異常を感じることもなく車に戻りました。
不謹慎ではありますが、正直なところ少々拍子抜けした気分で車に乗り込み、
帰途につきました。

車が現場を離れていきます。
その時になってようやく気付いたのですが、
その小高い山のまわりだけに霧状の雲がかかっていました。

そしてその雲がかなりの速さで渦を巻いているのです。
風は吹いていないのに。

その光景を見たときに、初めて背筋がゾッと寒くなりました。
そして、なにか「オオオオオオ」というような、
音のような声のようなものをかすかに聞いたように感じました。

私たちがその場を逃げるように走り去ったのは言うまでもありません。

帰り道の車内で口をきく人はほとんどいませんでした。

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