普通の住宅地の奥(行き止まりの部分)にある
巣鴨の平和霊苑では、霊苑手前の表通りからすでに
重苦しいどんよりとした気が蔓延しており、
自転車でそこへ行くと後ろに誰かが乗っていると感じるほど
の重圧がのしかかります。

それはどちらかというと、
恨み辛みを残して亡くなられた方の念というよりは、
どうかここから助け出してほしい、連れ出してほしい
というような救いを求める強い念が渦巻いており、
夜間のある時期、すがも平和霊苑では赤い提灯が不気味な光を放ち、
何体もの大きなお地蔵さんがいて、本当にそこだけあちらの世界と
繋がっている
かのような錯覚さえ覚えます。

初めてそこへ行った時は、
実は偶然道に迷って辿り着いたのですが、
その赤い提灯の不気味さに足が固まってしまい
後ろを向いて来た道を戻るのもこわく、
前を向いたままそっと後ずさりして霊苑から表通りへと戻りました。

結局、自転車の後ろに憑いてきてしまった無縁仏らしき霊
家の中までやってきて、夜中じゅうラップ音で私の気を引いたり
寝付こうとすると体に軽く憑依しようとしてきたり
上から覆いかぶさるように覗き込んできたり、
その夜はさすがに恐ろしくて電気を付け、
テレビも大きな音を出したまま朝日が昇るまで耐えました。

不思議なものでどんな霊魂も朝の光とともに
存在そのものが薄らいでゆく
のが分かります。

朝になったらすかさず部屋の窓を全開にして
気を入れ替え盛り塩をして、
これ以上ここへ来ては駄目だよと伝えました。

あの夜以来あの霊は来ていません。

元の場所へ戻ったのか、
どこかをさまよっているのか分かりませんが、
すがも平和霊苑は私が今まで足を運んだお墓の中では
一番恐ろしく感じました。

お化けという恐ろしさというより、救われない、
報われない霊たちの深い絶望や悲しみが放つ恐ろしさです。

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