愛知県は犬山市にある博物館明治村には、
近代化する日本の文化的遺産である建築物が数多く、
当時にほぼ近い状態で展示されています。

数年前に訪れたときの話です。

たくさん展示されている中に日本赤十字社の病棟があるのですが、
そこに近づくにつれそれまでたくさんいた他の見学者が減っていき、
ついに私と主人の二人だけになってしまいました。

時期もまだ初夏で、爽やかに晴れ渡っていたのに
病棟に着くころにはどんよりとした雲が広がっていました。

とはいえ山の中ですし、梅雨も近いころなので
「変な感じだけど、この時期だからこんなものかな」と軽く思っていました。

病棟の見学スペースに入る入口には三段ほどの階段があるのですが、
その階段に足をかけたとき、どこからともなく子どもの笑い声が聞こえてきました。

さっきまでいなかったのに、いつのまにか他の見学者が来たのかな?
と周りを見渡してみましたが、私たち以外誰もいません。

いやな予感がしつつも、主人は聞こえなかったようでそのまま進んでいきました。

焦ってついていき、病棟の中に入った途端に背中に悪寒が走り、
建物の奥の方から子どもが数人走る足音が聞こえてきました。

それでも聞こえていないらしい主人は進んでいくので
ついて行きながら各病室を見ましたが、
子どもどころか私たち以外の見学者はあいかわらずいません。

その日は理由は忘れましたが展示が途中で終わっていて
引き返さないと病棟からは出られません。

すれ違う人もいなかったので、足音や笑い声の主はわからずじまいでした。

その帰り道、疲れていたのもあるのでしょうが
主人は異様な眠気に襲われ、帰宅するとすぐに眠ってしまいました。

当時明治村でバイトしていた友人がいたので後日その話をすると、
やはり歴史ある建物ばかりなのでそういったことは
スタッフ間でもよくある話らしく、
日本赤十字社の病棟もそのひとつだったようです。

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