学生のころ、神奈川県山梨県との県境にある
道志村神之川キャンプ場に行きました。

神之川キャンプ場は山奥にあり、最寄りの幹線道路から一本道で、
街灯など一切ない所にあります。

夜、数組に分かれて、肝試しをすることになりました。
私は数学年年上のがんちゃんとペアになりました。

肝試しはキャンプ場から林道を15分くらい行ったところ、
道端にあるという墓石にそれぞれの組の名前を書いた
花火の燃えかすを置いてくる
というものです。

最後の組が全員分の花火を回収することになっています。
私とがんちゃんはちょうど真ん中の組になりました。

林道は灯が全くないので、墓石を見落とさないよう、
懐中電灯でしっかりと道端を照らしながら、進んでいきました。

ところが、15分くらい歩いても、墓石はありません。
ふたりでおかしいなと言いながらも奥へ奥へと行きました。

すると、トンネルがありました。
でも、この林道にトンネルがあるなんて聞いていません。

トンネルを抜けると、確かに墓石らしきものがありました。
しかしながら、私たちの前の組が置いて行った花火はありません。

確か、墓石には名前が彫ってあると聞いていましたが、
その表面には何も彫られていません。

これじゃないんだ。

そう思い、私たちは半分、
ぞっとしながらもさらに奥に進んでいきました。

すでに、キャンプ場を出発してから、
時間は1時間以上はゆうに経っています。

私たちはやっぱり、おかしい、引き返そうと決め、
今歩いてきた道を引き返しました。

すると、先ほどの墓石らしい石がなくなっています。
また、しばらく行くとトンネルもありません

この林道は一本道のはずです。
道に迷うはずはありません。

もう、私たちは恐怖のあまり震え上がっていました。
なかば何ながら、歩き続けると、無事、キャンプ場につきました。

私たちがキャンプ場を出発してから、
すでに3時間以上は経っていました。

その間、私たちが帰ってこないとキャンプ場では大騒ぎになっていました。
キャンプ場のご主人達が車を出して、私たちを探してくれていたようです。

ところが、私たちとキャンプ場のご主人は林道ではすれ違っていません。
私たちはキャンプ場のご主人に今まであったことを話しました。

すると、ご主人は私とがんちゃんを車に乗せ、
私たちが通ったはずの林道を走りました。

するとすぐに林道の道端に墓石がありました。
墓石の前は花火の燃えカスが何本も置いてあります。

墓石には、そこに眠っている方の名前が彫ってありました。
でも、その墓石は私たちが見た何も彫っていない墓石そのものでした。

字が何も彫っていなかったことと、
花火の燃えカスが置いていなかったことを除いて。

私たちが通ったトンネルもやはりありませんでした。
今にして、私は思うのです。

おそらく、その墓石で眠っている方が大変、
不愉快な思いをされたのだろうと。

静かに眠っている所に、何組もやってきて、
花火の燃えカスを置いて行ったのですから。

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