滋賀県琵琶湖にはおどろおどろしい言い伝えがある。
琵琶湖の北は水が美しく、昼間には水鳥たちが湖面にたゆたうなど
穏やかな風景が見られる。

しかし夜になると、あたりは真っ暗で、なにもなく、
ただ波が打ち寄せる音が響くだけでなんとも寂しい様子だ。

そんな夜の琵琶湖から波の音に加えて、
私も含め人影を目撃したという証言がいくつもある。

人影は湖面をあるいて集団で岸にやってこようとするのだ。
幽霊たちのひそひそ話す声で静かな夜はざわざわする。

湖からやってくる幽霊たちは、生きている人に敏感で、
見つかるとこちらへやってこようとする。

岸からある一定の距離をおけば幽霊はやってこれないが、
こちらへ向かってこようともがく姿がとても恐ろしい。

この幽霊たちはどこからくるのだろうか。

むかし、滋賀県では、商業がさかんで近隣の京都とも取引がたくさんあった。
南部が栄えた町であったため、北部へもその商人たちは積極的に商売をしにいった。

北部への移動手段は、陸路を歩くよりも、
船に乗り湖路で渡る方が早かった。

しかし琵琶湖の北は、水の流れが複雑で、
船乗りたちは沢山犠牲になっていた。

琵琶湖で沈んでしまった船の船員たちの肢体が
今でも琵琶湖の底には沢山沈んでいる。

その乗組員たちが、夜になると無念の思いを抱えて陸にこようとするのだ。
毎晩、沈没時の水死の苦しみを思い出し、
生きたいと生に執着した彼らは悲痛な幽霊になって琵琶湖湖岸に現れる。

勇気ある人は、真夏の夜に琵琶湖へ1人で行ってみてみよう。
そして、幽霊に見つからないように隠れながら湖岸を観察してみよう。
哀しい幽霊たちを見る事が出来るだろう。

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