20年ほど前友人と友人の彼氏と私の3人で、
有名な心霊スポットであるすずらん峠に。
細いがたごと道を車で向かうと、向こうから車が向かってきました。
一本道なので、路肩に寄せてすれ違った直後、その車は横道に曲がりました。
「あれ?道なんてあった?」
「無かった…はず」
「じゃあ、あの車はどこに曲がったの?」
「…とにかく先に進もう」
すれ違った時に、運転する人の赤いチェックのシャツを見たので、
間違いなくすれ違ったはずなのに、その車はどこかへ消えてしまいました。
とにかく広い所に出ようと、車を出しました。
何度も来ている場所なので、暗くてもよくわかっているはずなのですが、
いつもなら見えるはずの行き止まりのガードレールが見えません。
「おかしい。そろそろ着くはずだ」
と、車を止めて降りて確認したら、止まったその先は崖でした。
あと少し車を進めていたら、私達は車ごと崖に落ちていたことでしょう。
いつもあるはずのガードレールは、土砂崩れがあったのか、
どこにも見当たりませんでした。
あの時すれ違った車は、もしかしたら崖に落ちてしまった車が、
幽霊となって自宅へ帰ろうとしていたのかもしれません。
車を降りて、周りを見回してみると、高い場所に鳥居のような物が見えました。
友人の彼氏に聞くと、
「あれは、事故が起こらないように祈願して建てたものなんだよ。」と、
教えてくれました。
暗闇にシルエットで見える鳥居を見つめていたら、背中に寒気を感じました。
だんだん背中が重くなり、気持ち悪くなってきました。
ふと、視線を感じて鳥居がある崖を見つめると、
髪の長い女の人がこちらを見つめている気がしました。
はっきり見えているというよりも、感じるといった方がいいかもしれません。
「ねぇ、あの崖って、自殺者多くない?」
「なんで知ってんの?」
「やっぱり…。ちょっとヤバい雰囲気だから、帰るべ。このままだとヤバイよ。」
「え?何が?」
「いいから!早く!」
言葉を一つ喋る度に、あの女の人が近づく気配がして、
私は友人と友人の彼氏を急いで車に乗るように言いました。
気配がますます強くなります。
「早く!早く出して!」
「わ、わかった!」
その場所からとにかく早く離れたい!
私はその一心でした。
近くのコンビニに着いて、やっと寒気と気配から解放されした。
「なんであんなに急いだのや?」
「実はさ…」
私は、あの場所で感じた事を全て話しました。
すると、友人の彼氏が
「やっぱりそうなのか。実は、あの場所で車が崖下に落ちたり、
あの鳥居のある場所から何人も自殺してる人がいたんだ。
俺らは何も感じなかったけど、行くときにすれ違った車は、
この間俺たちだけで来た時と同じ車だっあんだよ…」
特徴を詳しく聞くと、運転手の赤いシャツも同じでした。
あの車は、何度も何度もあの場所を走っているのでしょう。
あの日から、あの場所には2度と行っていません。
震災で崩れてしまったかもしれません。
どっちにしろ、面白半分で行くべきではない。と、
友人達には伝えました。悲しみに連れて行かれるかもしれないから。
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